壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

漢の富士登山道~珍道中~ ≪第9回≫

起こされた私は山小屋の上の方を、指で指し示された方向を見上げ目で追う。八合5尺から九合目の間に親子ずれと思われる3人の姿が見えた。
3人は動かない。

私の睡眠に水を挿した同じ山小屋のアルバイトから詳細を聞くと、どうやら3人は家族、一人は女の子で小学校の3、4年生のようだ。

その女の子が足を怪我して歩けなくなって立ち往生している。両親ともどうしたらよいのか分からず助けを求めそれが私に舞い降りてきたのであった。

さっと3人のいる所まで駆け寄り状況を確認すると、どうやら軽い捻挫と靴連れで歩けなくなったようだ。

『さあどうしよう』

と下山させる方法を考える。
一人では歩けない、両親の力で運ぶことも困難のようだ。

思っても見なかったトレーニング方法しかそこには無かった。

3人は団体バスで富士山を訪れており、バス集合の時間も15時と制限時間付だ。現在の時刻は11:30で現在地は標高3500m。

通常八合目から五合目のバス停までは30分で走れる。

が、今日は背中に小学3年生体重はどれくらいだ、30kgちょいと言ったところだったと思う。

ひょいと担ぎ上げると結構軽い。単なる物体の30kgなら背中で安定させることも出来ずきついだろうが、女の子はしっかりと背中から手をまわしてきつく掴んでいるし、足も腰まで回してきっちり固定が出来ている。

両親にしっかり付いてくるように言い聞かせ下山し始めた。
危険なのはバランスを崩して後方に倒れたり、つんのめって前方に転んでしまうことだ。

無事にそして15時のバスまでに五合目に到着しなければいけない、トレーニングが始まった。                                           次回に続く・・・