壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

やまちゃんさんの『富士山の事故報告』

こちらの方は私のブログにもコメントをお寄せ頂き、お気に入り登録もしていただいている方の
ブログ記事です。富士山をこよなく愛し、私も富士山登山の参考にさせて頂いている方です。
 
私は既に富士山登山の回数は公私合わせて100回を越えていますが、やまちゃんさんは
桁違いの方です。
 
余計なことは抜きにして是非ご一読下さい。
 
 
 
 
 
富士山の事故報告
 
皆さん、ご心配をおかけしました。騒がしさから少し離れサウナで大汗をかきスッキリした所で事故が起きた事をもう一度思い出していました。事故後の心理状態は悲惨な状況を見た後で気持ちが高ぶり荒れた文面になりましたのは申し訳ないと思っています。今回は冷静になって振り返ってみました。尚、この記事は今回事故を起こした京都府勤労者山岳連盟にも送ってあります。話は全然違いますが、14日土曜日、三平ちゃんの所で忘年会をやります。来られる方は私の方にご連絡を下さい。三時間三千五百円のコースでやります。18時からです。
 
ちょっと見ない内に色々書き込みがありますね~。現場を見てない連中が想像だけで好き勝手言ってますが、能書きより今の富士を登って来て下さい。そして現場を見てきて下さい。理屈をこねまわすよりその方が分かりやすいですよ。
 
今回の我々の行動を記載します。12月1日(日)天気:晴れ 気温:山頂付近氷点下約15度 風速:約5mスタート口:御殿場コース 同門よりスタートする。スタート時間:早朝4:00仲間2人でスタート 4合目辺りで後からスタートした仲間2名と6時半ごろ合流4名でブル道から通常の登山道を登る。5合目辺で7合目近くにテントが見えました。その先を5名のパーティーを発見8時50分頃、7合目、日ノ出館に到着。先行者5名は7.9合の赤岩館にいるのが確認出来ました。彼らはそこで少し休憩しているのを確認しました。我々が7合目から山頂に向けて移動すると同じ時間帯に彼らも動き出しました。我々は10時ごろ8合目に到着、少し休んだ後、山頂を目指しました。8合目からは先行者の確認は出来ませんでした。恐らく8合目の上の大弛沢を登っているとの認識でした。10時20分頃、8合目の見晴らし館に到着。先行者5名は九十九折りの下側、雪の浅い場所を登っていました。見ていると我々の半分くらいのゆっくりした登りでした。凍りついている場所では立ち止りそろそろ歩きでどうみても氷の山は慣れていないのが見ていて分かりました。我々が登り始めてすぐに、その中の1名が理由は分かりませんが下りてきて途中、すれ違いました。後で分かったことですが、気分が悪くなったようです。
 
9合半辺りで先行者が止まり、下からは休んでいるのか分かりませんが止まっているのを確認しました。我々は先行者がいる直下およそ70~80m下まで来ました。その時に上から5cm~10cmくらいの氷の塊がバラバラ落ちて来ました。彼らは氷の斜面をピッケルで掘っていました。休憩するバケツ掘りです。我々はそれを直接受ける羽目になりたまらず、大声で叫びました。3回ほど叫んだのですが、気がつかないのか最後に大声で叫んでやっと止まりました。彼らとお会いしたのは、恐らく11時ごろかと思います。そのすれ違う時に氷を掘っていた方々はすみませんでしたと誤ってきました。ただリーダーらしき人は少し離れた場所にいて横を向いていました。彼らの足元にはザイルが置かれていました。場所が岩場でしたので恐らくこの岩場を登るのだとその時は思っていました。10~15分くらい、我々は登山道伝いに登り何気なく振り返った時は、4名がザイルでつながれた状態で滑落して行くのを目撃しました。物凄いスピードで雪の斜面を滑り落ち、そのあと岩場の有る場所に突っ込み転がりながら落ちて行きました。一瞬でした。その時、仲間が岩場から落ちたと言っていました。なんでこんな凍っている場所でアイザイレンなんだと驚きました。通常は経験豊富な人が先行して足場を確保して1名ずつ釣りあげます。凍っている場所でのアイザイレンはありえません。
 
落ちた彼らは身動きしないのがわかり、その場で即、警察に連絡をしました。我々もすぐに救助に行かないと行けないと分かっていましたが、我々の中に女性がおり彼女は滑落の現場を目撃したので怖くなり動けなくなりました。場所は凍りついた斜面です。警察から安全を確保して山頂から電話を下さいと言われ固まった仲間を落とさないように山頂に連れて行きました。山頂には11時45~50分頃到着しました。山頂から警察に連絡をとり落ちて行った状況を詳しく話しました。我々は同じ所を下りるは危険と判断して富士宮コースを見に行きました。コースを覗くと1名登ってくるのが見え、その方にコース状況を伺うとアイゼンの爪が浮いたと言われ危険と判断して剣ヶ峰下側の馬の背からのブル道を確認しに行き通れそうなのでそこを下り9合半までおりました。そこからブル道はバリバリに凍りついていたので少し通常の登山道と途中、沢が吹きだまりでしたのでそこを利用し8合目少し上までおり、そこからブル道を使い御殿場コースにトラバースしました。12時40分頃現場に到着しました。滑落現場に行くと知らない女性がいました。彼らの仲間のようでした。また、たまたま通りかかった私のブログを見てくれている方がおり一緒に救助を始めました。現場の状況は悲惨の一言です。皆さん血だらけです。1名は少し上で心肺停止状態で残りの3名はかたまって横たわり動けない状態でした。でも意識はあり彼らと会話することが出来ました。
 
一人は背中が寒いと言ったので皆で持ち上げ下にオレンジのシートを引き隣の黄色いウエアーの方は足が折れているように見えました。寒そうに震えていましたので私が持っているブリザードバックを取り出し彼の体をみんなで持ち上げ胸のあたりまで何とかいれることができました。又、予備のダウンがありましたのでそれも彼にかぶせました。彼は我々に申し訳ないと言っていました。そのあと警察に連絡をとり現場の状況を話しました。警察は始め3~4時間で富士宮から救助隊が行きますと言っていました。13時近くの我々からすると16時から17時では怪我人の体力が持たないと感じました。もう少し早まらないかと言うと逆に場所が8合目ですからもう少し時間がかかるかもしれないと言われました。最後はことによると二次災害の危険性もあるので明日になるかも知れないと言われました。その間、救助用のヘリが何度も接近してきました。風速約15~16mでは機体は大きく揺れていました。そのうち、来なくなり電話したところ気流が悪くおまけにガスが出て視界が悪いので行けませんと言われました。私は感情的になり彼らを見殺しにするのかと言いました。その時に風とガスが収まればもう一度くらいは行けるかも知れないと言ってくれました。我々の場所は沢で日陰でしたので風速約15~16mと氷点下14度では耐えられない状態でした。通常なら予備のダウンでしのぐのですが、それも怪我人に使ってしまい身体に巻きつけるものはなく、皆震えだしました。でも必死に怪我人に言葉をかけ励まし続けました。この高さでは登ってくる救助隊では間に合わないことは分かっていました。期待していたヘリも来なくり我々の置かれている立場は非常に危険な状態になりました。周りの雪も気温の低下で凍りだしました。このままでは我々自身も危険と判断して警察に電話をしました。警察は、皆さん、大変だと思いますが、引き上げてくださいと言われました。救助に当たっている人がそこで死んでは大変だと言う事です。そこで私は残しておく彼らのためにテントをヘリで落としてくれるように話しました。テントの中に収容出来れば救助隊が来るまで持ちこたえる事が出来るかもしれないと思ったからです。しかし、帰ってきた答えは気流とガスの関係で無理だと言われました。
 
そこで皆と相談してここを離れることにしました。彼らの仲間の女性は泣いていました。決断がつかない感じでした。私は話していた警察官に彼女を説得してもらい私も降りるように言いました。話がすんで怪我人の所に行くと、怪我した女性が歩けそうだと言われ、本人も大丈夫と言っていましたので仲間がアイゼンを履かせました。彼女はよろけながらも歩けましたので全員で協力しながら降りることにしました。ただ女性は胸をやられているらしく背負うことは出来ない状態でした。わかれる際、残した彼らに言葉が無くただただ土下座して泣きました。心が裂けそうでした。別れる際もう一度彼らに必ず救助隊が来るから頑張ってくれと言いました。黄色いウエアーの方は有難うございましたと言ってくれました。そのあと、我々は怪我をした女性と仲間の女性、計7名で凍りついた斜面で怪我人を支えながらおりました。途中、私は警察に電話してせめて宝永山まで迎えに来てくれないかと頼みました。宝永山から来てくれれば駐車場まで1時間、そのあと救急車で即、対応できたからです。でも警察は全ての人が救助に出払って対応できる人はいないと言われました。仕方なく御殿場コースを下りました。途中何度も怪我人のために休憩をとり、お茶や食べ物を女性にやりました。暗くなり女性の足元を照らし続けておりました。夜、8時に御殿場の駐車場に到着し待っていた救急車に女性を乗せました。全員、疲労困憊でした。以上が今回の状況です。
 
怪我をされた女性は現在面会が出来ませんが近々警察が事故の原因を聞きに行きます。その時になぜ落ちたのかハッキリ分かります。
 
文才のない私に代わって分かりやすく友達が書いてくれました。
http://blogs.yahoo.co.jp/ganbadanorichan/15238820.html  やっぱ文才あるな~~
 
 
NHK NEWSから