壬生狼一家

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冬山スノーボード ~富士山編~ ②

さて今回は富士山バックカントリーの危険体験をお伝えいたします。

5合目を出発したのは早朝で天気も安定し風もない状況でした。五合目から6合目までは斜度も緩く、それほど危険なことはありませんがスノーボードのブーツで歩くにはしんどく、スノーシューをセットして上がりました。スノーシュースノーボードブーツ専用のRED社(BURTON製)の物を使用。

6合目から徐々に斜度もきつくなりストックが必要になります。標高が上がるにつれ斜度もきつくなり始めます。そして風も吹き出し時に突風に襲われます。特にスノーボードを担いでいるため影響を大きく受けます。

7合目辺りからは時にデカイアイスバーンの急斜面を上がらなくてはならなくなってきます。そこからはスノーシューからアイゼンに履き替えました。アイゼンもスノーボードブーツ専用の物です。この状況になると一歩誤れば滑落の危険を含みます。一瞬の突風で足を滑らせば数百メートル~数千メートル滑落し命を奪われる危険性もあります。そこで必要になってくるのがピッケル。必ず利き腕に紐で括り付け落とさないように強く握り締めて万が一に備えなければなりません。

8合目に差し掛かったとき突然の吹雪に見舞われました。視界は2~3メートル前を歩く友人さえ見えないほどです。その吹雪と閉ざされた視界は2時間近く続きました。その間は突風も時おりやってきました。いつ来るかさえ分からない状況で、ずっと地面に伏せていました。友人はその吹雪の中動いてしまい。見えない視界の中で動いたことで崖の方向に進んでしまい、身動きが取れない状況となってしまい助けを求める声が聞こえるばかりでどこにいるかも分からず何もすることが出来ませんでした。ようやく視界が戻り吹雪も抜けると崖のところにいる友人が目に入ってきました。なんとか自力で戻ってこれました。

9合目を越えた所で夕暮れが近づき滑走下山の準備をしました。足の力も極度に衰えまずは体力を回復させるため休憩を取っていました。手にしたペットボトルのお茶を飲み、横に置いたとたんペットボトルが倒れ、転げ落ちていきました。それもどんどんスピードを増し見えなくなるまで転がっていきました。これが自分だったらと思うと恐怖心も沸いてきます。

 富士山の9合目辺りで斜度は40°近くあったと思います。所々アイスバーンもあるので滑走の時も利き腕にはピッケルを握り締めたまま滑走し約20分で五合目の入り口まで滑走しました。私は無事滑走を終えましたが富士山の雪はパウダー状態ではなく固い氷の塊が張り付いた状態です。いつ滑落してもおかしくない状況ですので十分な装備で平常心、正確な状況判断を持ち合わせないといけません。

 長々と書いてしまいましたが興味本位で冬山に入るのは非常に危険です。情報収集をきちんとし無理は絶対にいけません。単独での雪山も絶対に避けてください。

 今後滑落事故の報告は耳にしたくないものです。