壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

漢の富士登山道~珍道中~ ≪第23回≫

山小屋の仲間たちとの話しはしばらく続き23時過ぎには床に就いた。

体は芯から疲れ果てているものの眠れない。毎回のことだ。布団にもぐり目を閉じても足だけは歩き続けている感覚が残る。
静まり返った山小屋の中であちらこちらから寝息や、いびきが聞こえてくる。時折、山小屋の戸が開き登山客が宿泊に訪れている。


山小屋はたいがい二段ベットであるが、高山病気味の人は下の段に寝ることをお勧めする。
実は山小屋は想像以上に暑い。上にいけばいくほど暑い。それに酸素の濃さ薄さも、下のほうが濃く上が薄く感じる。

高山病はベットに横になり眠りに近付くと急激に襲ってくる。大よそ半数の人は大小症状は違うものの高山病になる。高山病になると頭痛、吐き気、呼吸異常などの症状が出る。どれもつらい、本当につらいのである。高山病には市販の頭痛薬や酔い止めは効かない。
じっと我慢していていつか乗り越えられるだろうと思っていても乗り越えない。

毎年必ず、夜山小屋のトイレに行くと吐き潰れている人を見る。飲み屋で酔っ払って吐き潰れているのとは違い、富士山の高山病での吐き潰れは想像以上に苦しい。

一発でケロッと治す方法は唯一つ、標高2800以下の七合目まで下ることだ。それまで苦しめていた頭痛も、吐き気もいつの間にか全くなくなる。何もかも元に戻る。

最近はこんなものまである
    ↓
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/sa471201.htm


山小屋内がにわかに騒がしくなってきた。山頂御来光を目指す人達が準備を始めている。外は雨のようだ、山小屋の屋根をたたく雨音が耳に入ってくる。私は山頂御来光ではないのでそのまま床に伏して眠りに落ちていくのをひたすら待ち続ける。

再び山小屋内がざわつき始めた。気付かないうちに眠りへと誘われていたようだ。どうやら御来光の時間になったようだ。布団から起き上がり外の様子を伺う。濃い霧が立ち込めている。雨も少し残っていた。だいぶ明るくなり既に太陽は昇っているようだがどこに太陽がいるのかすら分からない状態であった。布団にもぐりこみいつの間にか眠っていた。
                                                                                      次回へ続く・・・