壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

漢の富士登山道~珍道中~ ≪第18回≫

『そろそろ泊まろうかと思うんですがどこの山小屋がお勧めですか?』ちょうど鎌岩館の前であった。

『ここにしようかしら?』

どうやらこの辺りで休み明日富士山頂を目指すようだ。
『ここら辺で休んだら明日の道程は長くなります。最低山頂を狙うのであれば八合目までは登らなくてはいけません』
とアドバイスをした。どうやら体力的には限界に近いようだ。

鎌岩館前では20分以上休みを入れた。その間その夫婦とはいろいろな話をした。話の中に
『私の60歳の記念で富士山登山に初めて挑戦してるのよ』とおばさんは私に語った。
。僑虻个竜念に何かに大きなものに挑戦したい
一生に一回は富士山登山し頂上に立ちたい
この二つをまさに今、成し遂げるために戦っているのであった。

じゃあ逆に今何故私は富士山登山しているのか、何の為に登っているのか、富士山登山の重みはこの夫婦とは比べ物にならない。

私の富士山登山の経験から今後の道程のことや、気候の変化、高山病対策など事細かに説明し、成し遂げさせる為の一助と成ればと思っていた。

鎌岩館を出発し鳥居荘に着く頃には日はかなり傾き、夜間登山の準備にかからなければならなかった。温度も急激に下がってくる。
さてさて上着を着て、ライトを準備していると夫婦が追いついてきた。

『日が暮れますね、そろそろ冷えないように上着着た方がいいですよ、ライトも準備なさったら』と声をかける。

今度は旦那さんがザックをあさって小さな小さな豆ライトのようなものを取り出した。奥さんは・・持っていない。
まぁ今直ぐには必要ないだろうが30分もすれば必ず必要となってくる。

『山小屋でもライトは売ってます、暗くなったらちょっと高いですけど買ったほうがいいですよ』


東洋館に到着した時には既に日は落ちていた。更に気温は下がってくる。手もかじかみだした。
七合目到達で日暮れを迎えてしまったこと、自分の体力もかなりへばってきている事に情けなく思った。
                                                                                     次回へ続く・・・