壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

富士山登山2008年 ~御殿場口からの挑戦~ 第一話

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富士山登山道完全制覇へ最後に残された『御殿場口』にアタックしてきた。
今までは『須走口』『河口湖口』『富士宮口』『吉田口』『馬返』を成し遂げてきたので
メインな登山口で残されていたのは『御殿場口』のみであった。
本来、富士山の山開き中に挑戦したかったがあいにくの天気で登山道まで乗りつけたものの断念。
このまま引き下がれないと9月17日(水)に単独登山。
急遽前日に御殿場市の天気を確認したところ早朝から夜まで降水確率ゼロ。
曇りのマークすらない晴れマークが並んでいた。
体調は芳しくなかったがここしかない、帰宅後『富士山登山』の支度を済ませ就寝。

3時間ほどの睡眠を取り、午前3時に起床。
簡単に身支度を整え午前4時前には自宅を出発。
当然渋滞は全くなく、圏央道鶴ヶ島~中央八王子JCT~中央河口湖~東富士五湖道路須走ICと
スムーズに走行、下道も問題なし。


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途中、食料の調達をし『御殿場口』には午前6:30に到着。
駐車場には6~7台の車が止まっている。
富士登山の車なのか富士山見物の車なのかは分からない。
簡単な朝食を取り、着替えも済ますといざ最終登山道制覇に向け『御殿場口』を出発。
時は6:50を回っていた。


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なだらかな砂地上の登山道を進んでいくと富士山全体がくっきり見渡せる。
向かって左側には『宝永山』の噴火口が大きな口を開けているのも見える。
快晴だ、ここまで富士山がはっきり見えている状態での『富士山登山』は久しぶりだ。
ワクワク感が湧き上がってくる。
薄手の長袖の服では汗ばむほどの天候だ。風も程よく吹いている。


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登山道を200mほど行ったところに60代と思われる男性が
三脚の付いたカメラを懐に抱え『フジアザミ』の写真のアングルを考えている。
『フジアザミ』は大きく花を開いている。


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更に500mほど先であろうか、『フジアザミ』『オンタデ』の写真を撮っている
こちらも60代と思われる男性が目に入ってきた。
『こんにちは』と声をかけて頂いた。しばし話しをして、
『お気をつけて』と声をかけて頂き、先を急いだ。


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下界を望むと山々と山中湖がはっきり見える。
山中湖がすぐ近くに見える標高もそれ程変らないように思える。
今回は『御殿場口』標高1500mほどから、標高980mの山中湖を見下ろすので
そう見えるのも必然だ。

普段『河口湖口』から登っている時も山中湖が見えてくる。
標高2600mほどの登山道から山中湖は見るのだから
上から見下ろすほどの距離感、高度差を感じるのも当たり前だ。

所々に山小屋のような建物があるのだが、
その大半が廃墟で、御殿場口の衰退模様が見て取れる。


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伝統のある『御殿場口』は1964年(昭和39年)にスバルラインが
開通するまで非常に人気の富士山登山道であったが
その後、1970年(昭和45年)に富士山スカイラインが完成し、
更に『御殿場口』は廃れていった。

富士山頂の『富士山頂観測所』『富士山頂測候所』などの職員は
この『御殿場口』を利用し登山を繰り返していた。
長田尾根などがその名残だ。


歩くにつれ左手の宝永山(標高2693メートル)の全貌が現れだした。
かなりの迫力で噴火口が口を開けている。



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遠くから宝永山を見ることは今までにも何度もあったが
これほど近くで宝永山を見たのは初めてだ。
圧倒される。

この噴火口は今から301年前の『宝永の大噴火』により出来た噴火口である。
『宝永の大噴火』は太陽暦1707年12月16日に起きた噴火で16日間に渡り、
近郊の町のみならず遠く離れた東京(江戸の町)にも降り注いだ。
このときの模様は『新田次郎 怒る富士(上・下)』で事細かに描写されているので
興味のある方は一読すべし。

単調な登山道を数時間ジグザグと登っていく。
単調ではあるが今日は天気が良いので
景色を楽しみながら登山できているので退屈しない。



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途中昼ご飯を食べる。
昼ご飯と言っても夏の富士山登山のシーズンは既に終わり、
山小屋は一つも営業していないので持参した食料を食べる。

今日の持参食料は
カロリーメイトチーズ味』一つ。
『十勝バタースティック』一包み。
『チョコチップスナック』一包み。
『LIGHT MEAL』一つ。


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簡単な食事だけだ。

飲み物は麦茶2リットル。これだけだ。

天気が良いので雨具も持たず、
持参品は食料、飲み物以外は『ダウンジャケット』、『ヘッドライト』、『携帯電話』、
一眼レフカメラ』『小型デジカメ』以上。
いつになく軽装化、軽量化された持ち物だ。
その分体力の消耗は少なくて済む。

順調に高度を稼ぎ自分の目線が宝永山の頂と同じになった頃、
前方から下山してきた方とすれ違った。
登っている人が私のほかにも居たんだと少しばかり安心感がでた。


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徐々に斜度も厳しく成りだした。
時折下界から山頂に向かって生暖かい空気が風となって舞い上がってくる。
一瞬蒸し暑くなるが、それが抜けると乾燥した涼しい空気へと戻る。

通り過ぎる山小屋はどれも表札まで外し何という山小屋なのかさえ分からない。
雪の季節を見越して、岩で山小屋を囲い、支柱を何本も立てかけながら
雪崩にも耐えうる強化を怠っていない。
全く人気のない山小屋は場合によっては気持ち悪い雰囲気を漂わせる。


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下界を覗くと、雲海と山々の大パノラマが広がる。
山中湖も小さく見える。
自分の目線より上の雲もだいぶ少なくなり、殆どの雲は見下ろすようになった。
昔から雲を眺めているのが好きで色々な形に見えてくる雲を楽しんだ。
今日もニヤニヤしながら雲の形を想像していた。

『御殿場口』というのは登山道の歩き易さは他の登山道と比較してみると
最も歩きやすい登山道だと思う。
大きな岩のゴツゴツした登山道もないし、
斜度も八合目以下に関しては緩やかである。
その分走行距離は伸びるが私にとっては向いている。
特に一泊二日での登山であれば子供連れにも危険度が低く良いのではないかと思う。
富士宮口』なんかは登山道にある岩がデカ過ぎて子供たちには厳しい登山道だ。


そんなことを考えながら『御殿場口』の富士山登山を楽しむ。
天気は最高に良い、景色も最高、心がどんどんリフレッシュしていく。
多少疲れは出始めたが標高も3000メートルを越え、
山頂も随分近くに見え始めた。
山頂に向かって左方向に登山道は伸び、『富士宮口』方面も見え始める。


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のんびり写真を撮りながらの登山でややスピードを気にしなさ過ぎていた。
標準登山時間を下回るスピードでの登山の為、八合目着は
なななんと!15:00。
既にここまで所要時間8時間。
本来山頂までの標準所要時間が7:30と言われているので
大幅の遅れをもってここまで来てしまった。

『やばいぞ!急がないと日が暮れる』
始めて日暮れをこの時気にした。
急いで登らないとと登山スピードを上げる。
太陽の角度だけが非常に気になる。

ただひたすら山頂に到達するためだけに前進する。
山頂に付いてもお鉢巡りは出来ないし、とんぼ返りで下山を開始しないと日が暮れる。
そういえば何時に日が暮れるのだろうか。いろいろと想像してみる。
考えても何時に日が暮れるのか分からない。
日頃朝から晩まで新宿のビルの中で仕事をしていると季節感さえ感じなくなってくる。
日暮れの時刻なんかも気にしたことがない。
多分18:30~19:00頃まではやや明るいであろうと勝手に思い込んで
16:00位までに山頂到着で日暮れ前に下山完了するだろうと判断していた。

山頂が近付くにつれ、登山道もきつくなりだした。
15:30、16:00と時は経過し、
どうする下山か、登頂か、日は暮れるのか、持ってくれるのか?
判断を求められる時間になった。


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足をとめずに考えながら前進していく。
結論、

何時になろうと山頂を目指す。
もう山頂は目の前だ、折角ここまで来て引き返すなんて出来ないと山頂を目指した。


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16:30ようやく山頂に到着した。
人は誰もいない、気温は思っていたより暖かかった。
そうは言っても悠長なことは言ってられない、早速下山だ。


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