壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

富士山登山2007 ~馬返しからの挑戦~ 第9回

よぉし!!今年一発目のお鉢巡りだ。お鉢巡りには時計回りと逆時計回りのどちらも選べる。楽なのはきっと逆時計回りだが、最難関”馬の瀬”と呼ばれる急斜面だけは時計回りで心臓破り、逆時計回りでは滑落の背となるので辛いけど時計周りをお勧めする。

後は全く逆の言われもある。よく覚えておいて欲しい。時計回りで『願いを成就』逆時計で『恨みを成就』なんていう言われもある。きっと八割~九割は時計回りを自然と選択する。恨みの無い人は時計回りを選択してくれ。


再度隊長の位置をキープしながら時計回りのお鉢巡りを始める。でも混み合いようは尋常で無い。いったい何人いるんだ今頂上に。何百人いるのだろうか。きっと知り合いの一人でもいるのではなかろうか。まるで新宿駅か、竹下通りを歩くかのように人の合間を抜けていく。
山頂山小屋は既に山小屋手仕舞いの準備を開始していた。山頂のトイレには100メートル以上の列が伸び男女関係なく並んでいる。

山小屋、山頂トイレを通り過ぎると右手に噴火口を観覧できるポイントへと出る。深さ200メートル、落ちたら即死だろう。危険極まりない噴火口がいつものようにすごい迫力で迫る。噴火口にはまだ残雪が残っている。

しばらくして噴火口から先を目指す。下界の景色はよぉ~く見える。天気にここまで恵まれた富士山登山はあまり経験したことがない。
下界が晴れ上がっているだけでなく、山頂の上空にも雲が入り込んできていない。風もいつもの勢いがない。順調だ、最高に順調だ。

前方からは逆お鉢巡りをもうすぐ終えようとする富士山登山者が幾人も歩いてくる。恨み晴らしの行者なのか?疑ったりもする。

目の前には”大沢崩れ”が現れた。”大沢崩れ”は富士山西斜面を大きく侵食した抉れた谷のことで年間15万立方メートルも崩れ落ちている富士山の山頂直下から標高2200メートルまで土砂崩れが起きている部分で日本最大の土砂崩れだ。1000年後には富士山はこの大沢崩れにより真っ二つに割れるといわれている。これによりお中道は寸断されてしまった。確かにここに来る度にその表情を変えている。

相棒二人は何も考えずはしゃいでいる。私が興味深くシャッターを切るのを見て尿意奇声男と野生メガネ男児伯爵はシャッターを押す。
何を撮っているのか分かってんのか、甚だ疑問だ。あっ、そういえばうちの会社にもいた大澤君、彼も崩れていっている。このままでは彼も二つに割れてしまうのでは・・・・、また余計なことを思い返してしまった。

大澤君を思い出しながら”大沢崩れ”をあとにする。また右手に噴火口が見えてきた。ここが通称”虎岩”のベストショットポイントである。
噴火口の壁を守るかのようないで立ちで鎮座する。凄い迫力で鎮座する。一見の価値あり! こういった通り過ぎがちのポイントを抑えてもらいたい。ちんけな虎っぽさではなく、魂さえ感じる”虎岩”である。

その先を進むとこれまた写真に収めたかった重要な”長田尾根”が現れた。この尾根には御殿場口登山道八合目辺りから頂上まで幅1メートル、長さ1100メートル鉄柵が備え付けられている。この鉄柵1958年2月26日に亡くなられた気象庁職員長田輝夫(オサダテルオ)氏の死を悼み全国の気象庁職員からの募金により設置された。彼は富士山山頂測候所の強力・炊事当番として活躍後気象庁職員に採用された。富士山を最も知ると言われる人だ。事故は突然の突風により起こった。煽られ転倒、頭を岩に激突させ亡くなられた。享年59歳。

彼がどれほどの人だったかは分からないが、私の中では大きく広がる存在感を有する。


こなかな道を進むと広がりのある空間が現れる。”富士山山頂浅間神社奥宮”である。ここにも富士山登山者は溢れていた。ここでお守りを買うために頑張ってきたのだ。日本一高いところで売られるお守り、金額も日本一ではなかろうか?●●●●円!!金額じゃないんだ成し遂げたもののみが手に出来るお守りなのだ。非常にご満悦だ。【厄除お守】のみを購入する、ただそれだけを。二人の同行者も購入する。

人ごみをすり抜け、『富士山山頂浅間神社奥宮』を後にする。また大きく開けた。そこの横には山頂トイレが設置されている。ここのトイレは日本一高いところにある誰でも使用できるトイレだ。何気に綺麗な外観で、トイレも比較的清潔を保たれている。順番待ちも全くなかった。

さて、目の前には心臓破りの坂、”馬の背”が立ちはだかる!!。こいつは本当に手強い!!斜度がキツイだけでなく、表面を覆う砂状の細かな溶岩礫が足裏のグリップを奪う。簡単なスニーカーで富士山登山に来ている人はまず滑る、こける、ずり落ちる。特に馬の背を下る逆お鉢巡りをしてしまった場合、ここで数メートル上部からずり落ちる確率は相当高い。

”馬の背”にアタックしている富士山登山者を下から見上げていると気合が漲ってくる。
『行くぞぉ!!』と気合を入れて”馬の背”にアタックを開始する。ちょこっと登り始めるとすぐに息が上がる。若い二人の同行者は中央からアタック、私は鉄柵を掴みながらの登坂だ。”馬の背”を下る富士山登山者が時折、滑落して滑り落ちてくる。自分の足元への注意と、滑落してくる登山者に気を付けながらゆっくりと上がる。苦しい、息が上がり、足への負担も大きい。ここさえ上がりきれば日本最高地点の測候所に出れる。3776メートルは目の前に迫ってきた。すでに若い同行者は”馬の背”をクリアしている。滑落してくる登山者に注意を払い、バテバテの状況で私もこの”馬の背”をクリアした。

測候所の脇には”富士山山頂三七七六の記念碑”が建っている。ここは富士山登山者の記念撮影ポイントで、既に記念撮影待ちの人が50名ほど並んでいる。我々3名はここでの記念撮影をパスし、お鉢巡りの先を急ぐ。

下界の景色を楽しみつつ逆側からみる怖ろしいほど切り立った噴火口を見ながらシャッターを切りつつお鉢巡りを続ける。相変わらず、これ以上ない好天が我々を包んでいる。この高度でも野生男児と奇声男児は苦しくないようだ。お鉢巡りを楽しそうに行なっている。右手下方に”金明水”が見えてくる。この”金明水”が目に入るとこの”お鉢巡り”も佳境である。相変わらず右手には大きな噴火口が迫る。富士山登山最後の上り坂に差し掛かると前方から声が掛かる

『おおぃ~元気印』

声の方向を確認するとあのおじさんだ。クタクタにへばり切っている私を見て
『相変わらず元気だね!』
この状態を見てもおじさんには元気に見えるようだ。

富士山頂の山小屋が見えると我々のお鉢巡りは終わった。成し遂げたのだ。
所要時間は2時間を越えてしまっていた・・・。

                                            次回へ続く・・・