~20年連続富士山登山~ Vol.09
~20年連続富士山登山~ Vol.09
しばらく雲とガスの流れを見守る。
最近のツアーバスで富士山登山に訪れると時間が足りなくて神社まですら足を伸ばせない登山者が多くなった。非常に残念なことだ。
絶対に神社、剣ガ峰を含めたお鉢巡りは最後の力を振り絞り味わってもらいたいものだ。
神社で御守りを購入し、『コノシロ池』の横で富士山山頂昼寝としけこむ。
今日は風も殆ど吹いていないのでシャツ一枚でも日差しが強いから熱い。
ザックを下ろし大の字で一睡もしていない体を休ませる。
1時間半ほど横になるものの全く眠れず。
諦めてカメラを片手にあちこち徘徊する。
ナベはこんな感じで日本最高所での昼寝の真っ只中である。
ナベはこんな感じで日本最高所での昼寝の真っ只中である。
また横になり目を瞑りぼぉ~としながら大の字になる。
こんな何気ないことも富士山山頂となると贅沢だ。
時間を全く気にする必要がない。
時間を全く気にする必要がない。
このまま夕暮れまで何もしないで時が流れても今日はいい。
辺りにいる登山者の話し声だけが何となく聞こえる程度だ。
2時間程過ぎた頃ナベも起き上がり剣ヶ峰に行くかと、
準備がまだのナベより一足早く剣ヶ峰の手前に待ち受ける『馬の背』に取り付いた。
相変わらずの急斜面だ。
富士山登山の中で最もキツい登りとなる。ここを登り切れば日本最高所剣ヶ峰だ。
3776メートルが目の前に来た。
この『馬の背』途中で力尽き剣ヶ峰に取り付けず3760メートル程で下山を余儀なくされる登山者もいる。
この『馬の背』途中で力尽き剣ヶ峰に取り付けず3760メートル程で下山を余儀なくされる登山者もいる。
数十分前にも四人の家族連れがここ『馬の背』途中で子供2人が力尽き、
上の子をお父さんが背負い辛うじて山頂に取り付いたが、
下の子を背負うことになった母親は遂に山頂到達手前で力尽き『馬の背』を下っていった。
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あと100歩ほどの距離でだ。
またいつの日か100歩を埋めに来るのだろう。
『馬の背』は少しでも気を抜くとズルズルと滑り落ちていく。
靴底のグリップを確認しながら小さなピッチで一歩一歩確実に踏みしめ登って行く。
息が上がりはじめる。
足ではなく肺が一番キツい。
息が上がりはじめる。
足ではなく肺が一番キツい。
決して無理をしてはいけない。
ゆっくり、ゆっくりと酸欠にならないよう歩く。
7、8年前に一度だけこの『馬の背』を下からダッシュで駆け登ったことがある。
一気に登りきれたが、剣ヶ峰直下で酸欠となり倒れた。
何度息を吸っても酸素が体に取り入れられない。
山頂の酸素量は平地の60%しかない。
吸っても吸っても苦しみは消えない。
体は痙攣し、いうこときかなくなった。
気も狂いかけた。
同行者の携帯酸素を奪い何度も何度も吸い込み落ち着きを取り戻すまで15分以上も要した。
死ぬと思った本気で…。
そんな回想をこの場所にくると必ずする。
今日は一歩一歩ゆっくり登りきった。
すぐにナベも登ってきた。剣ヶ峰には『日本最高峰 富士山剣が峰3776米』と彫られた石碑が建てられている。
混んでいるときはこの石碑横で記念撮影するのに30分以上待つことすらある。
今日は待ち時間なしで記念撮影出来る状態だが前を素通りし、その先の展望台に向かう。
殆ど登山者はこの展望台に気付かずに剣ヶ峰を後にしてしまうが是非剣ヶ峰の奥まで進んで欲しい。
展望台に上がると先客は誰もいなかった。
何度となくここの展望台は訪れたが今日が一番の眺望である。
暫くの間カメラのシャッターを切り続ける。
その間に何人かの登山者が展望台まで上がってきては歓声をあげカメラに絶景を切り取っていく。
夕暮れまでシャッターを切り続けようとも考えたが太陽が高い位置にあるので1時間ほどでお鉢巡りを再開した。
誰も列んでいない石碑の前で記念撮影した。
きっと4、5年ぶりの行為であった。
きっと4、5年ぶりの行為であった。
登山者は最終目的地を剣ヶ峰の石碑とする方が多いので、これより先には登山者は数名視界に入る程度だ。
内院を右手にしながら歩く。
起伏も剣ヶ峰までで緩やかとなるのでこの先は散歩感覚のお鉢巡りだ。
ほぼ正面に『釈迦の割石』が鎮座する。
左手には『雷岩』右斜め下には『金明水』以前のお鉢巡りは内回り、外回りの2道を選択出来たが、
現在は内回りのみとなってしまった。
従って『釈迦の割石』は離れたところから見上げる事しかできない。
Vol.10へ続く・・・