壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

漢の富士登山道~珍道中~ ≪第3回≫

やがて夫婦の姿は消え、また一人旅にやや不安を感じ始めていた。
暫く歩くと東富士五湖道路の下から再度『吉田口遊歩道』への入り口が見えてきた。
やはり木々の中で自然を感じながらの富士山登山をすべく『吉田口遊歩道』へ踏み入る。
先程までの大きなぬかるみも無く歩きやすい状態であった。
地面には水たまりの姿がなくなっていた。
鶯の鳴き声や、鳥のさえずりも目立つようになってきて心も穏やかになる。

一つ目の目標地点は中の茶屋。ここへは北口本宮富士浅間神社より所要時間80分となっていた。ちょうど私も80分で到着した。そこには観光客らしい年配の方々が団体で訪れており、重装備の登山客に興味を示し数人が声をかけてきた。

『どこ行くんだい』『富士山?』『えっ、頂上まで行くのかい?!』

などという内容の会話が約15分ほど続いた。
あまり時間を費やすのもこの先の旅に差し支えてしまうので
『がんばれよ』
の一声を頂き、第一チェックポイント『中の茶屋』を後にした。

先の道を歩き始めると前方より3人の人影が見え始め、徐々に私の方向に下りてきた。3人とも欧米人のようである。こういう時、普段なら
『こんにちは』
と声を掛け合うのが山の流儀。
しかし、前方から近付く3人は欧米人。
私は声をかける間合いまで『ハロー』の言葉を用意して歩いていた。

私の間合いより少し早く彼らは私に声を発した。その言葉は『ハロー』ではなく
『こ ん にちぃっ は』
であった。”郷に入りては郷に従う”であった。

この登山道『吉田遊歩道』で最初にすれ違ったのが外国人とは以外であったが
やはり『フジヤマ ゲイシャ カミカゼ』は
私たち日本人よりも外国人にとっては大きな日本の象徴なのであろう。でも、日本人であってもこの道から富士山頂上を目指すものは少ないし、情報すらあまり出回っていない。そんな富士登山の道を彼らはいったいどこで知ったのであろうか。不思議であった。 次回に続く・・・