寛永通宝
いままで何度と無く富士山に登ってきたのだが、昨年家族全員で富士山登山に行った際、面白いものを拾った。
それは富士宮口の登りでの事だった。
疲れて登山道の横に寄って休憩をしていた時のことだ。
金剛杖で地べたの細々した溶岩をつついていた時、杖先に溶岩とは異なる感触を得た。
なんだろうと金剛杖の先で細々した溶岩を掘るようにどかしていくと、
錆び付いた金属片のようなものが出てきた。
ゴミかなと、手に取るとやはり錆び付いた、汚れた金属片のようだった。
表側は平面で全体的に青褐色に劣化しており、ゴミならそのまま持ち帰ってどっかで破棄しようかなと思いながら、裏返してみた。
全く読み取れないが、なんか文字が彫ってある。
汚れを取ろうにも錆びさびと劣化で取れないが、辛うじて浮かび上がっている文字を読み取ると古銭のようだった。
取り合えずポケットに入れて持ち帰り、明るいところで見てみた。
どうやら寛永通宝のようだ。
古いお金だが、流通も多くてそれほど今でも価値はないのだろうけど、富士山で拾った寛永通宝、一気の俺の中の妄想が解き放たれた。
古いものだと383年前、新しいものでも151年前という歴史を持つ。
どんな服装をしていたのか、いつ頃だったのか、妄想するだけで十分楽しめる。
俺にはこれといってこれが宝物っていう物体はないけど、こいつは俺の宝物にでもしようかなって思う。