壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

漢の富士登山道~珍道中~ ≪第1回≫

圏央道が6月23日にあきる野から八王子間が開通し私の住む埼玉県中部からは大幅に時間短縮なっている。今までは八王子ICまで1時間半~2時間を要していたが、今は河口湖ICまでで2時間ほど。

朝05:00自宅より出発した。いつになく緊張感のある出発であった。最寄の鶴ヶ島ICまで約30分、途中ガソリン入れたがリッター136円と安い地域と言われる埼玉県でこれは厳しい価格である。

車を運転しながら今日のBGMをCDケースから手探りで引っ張り出す。湘南乃風あたりを引き当てたかったが手にしたCDは何故か大塚愛の『愛amBEST』運転しながらのためそのままCDを流した。違うよな、やっぱり。と思いながらもちょこっとサビのあたりは口ずさんでいたりする。
『・・・・あ~たし、さくらんぼっ  もう1回っ!!・・・』

当然?!鶴ヶ島ICを入るとガラガラで狭山、入間、青梅、あきる野とすいすいであった。そこから初めて走るあきる野~八王子間の圏央道。やたらとトンネルだらけであったがトンネル内の照明が技術が良くなったせいか非常に見やすく走行しやすい。トンネル内を走行していても感覚はトンネル外を走行するのと変わらない。このトンネル照明の技術は凄いと妙に感心させられていた。カーナビゲーションソフトが最新に更新されていないので途中ゴルフ場など面白いところを地図上は通っていった。

中央道との合流は相模湖手前。順調な道程であったが徐々に天気が思わしくなくなり始めてきた。
大月のジャンクションから河口湖方面左に折れるとフロントガラスに水滴が付き始め都留IC付近では雨が目立ち始めた。まもなくして河口湖ICを降り、本来右折でスバルライン入り口方面に曲がる所をこの度は左折し北口本宮富士浅間神社方面へ。約7分で北口本宮富士浅間神社の大駐車場に到着。駐車場には沢山の車が止まっている事を予想していたが2台のみ。
到着は07:00少し前であった。先程感じ始めた雨はいつの間にか『さぁ~』と少し強い霧状で降り始めおり出発を躊躇してしまった。

『行くべきか、引き返すべきか』

『天気はこれからどちらに転ぶのか』

そんなことを考えながら時間だけが過ぎ、なんだか煮え切らない自分自身に腹立ちさえ覚えるようになり始めてしまった。

『まぁ行って駄目だったら引き返せばいいや』と、

富士山登山の身支度を始め、08:30タラスブルバをきつく締め上げ約15kgに嵩んだカリマーを背負い上げ大駐車場を後にした。

まずは富士登山の無事を祈念し北口本宮富士浅間神社に向った。お賽銭箱の前には白装束に包まれた人達が20名ほどいたがその横の隙間からお参りすべくお賽銭をひょいっと投げ入れる。無残にも私の投じた10円玉はお賽銭箱に吸い込まれること無く、そのまま左横に跳ね上がりお賽銭箱の外に飛び出てしまった。白装束の人達の中からクスクスと笑いがこぼれた。

これは何かの暗示なのか?

『行くべきなのか、引き返すべきなのか?』

そんな些細なことから湧き上がってきてしまった雑念を振り払い、例の富士山出発点である門の前に立った。

『さあ、始まるぞ! 厳しく苦難の道がこの門をくぐった時から始まるぞ』

心の中で自分自身に言い聞かせるよう呟く。

門をくぐると目の前に富士山登山の安全を記念するお賽銭箱。

ここでは慎重に、慎重にお賽銭箱の中心の更に中心にいつもより手を長く伸ばし10円玉を投下。
見事にお賽銭箱に吸い込まれていった。

『よしっ!行ける、行けるぞ』

自分自身の先程のもやもやを吹っ切るように心の中で叫んでいた。
たったこれだけの事で自信も湧き上がってくる。非常に単純な自分には我ながら脱帽だ。

いつの間にか雨すら気にならなくなっていた。                  次回へ続く・・・