壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

BRANCH MANAGER INTERVIEW WITH NARU


BRANCH MANAGER INTERVIEW WITH NARU


長年、Burtonのプロライダーとして第一線で活躍し、現在はプロダクトコーディネーターとして、ベテランスノーボーダーからショップスタッフまで多方面から支持されている吉村成史。

2017 Family Treeラインに新たに新たに加わったBranch Managerは、彼が企画しグローバルで展開されることになった、いわば彼の息子のようなボードです。今号と次号のメールニュースでは、ナルが語る発案から完成までのBranch Manager開発秘話をお届けします。
―自身が企画したボード、Branch Managerがグローバルで展開されることになりましたが、このモデルの原点みたいなものはあるんですか?

ナル: Family Tree初年度にリリースされたCheetahかな。ちょうど、いろんなメーカーがパウダーボードを作り始めた時期で、その多くはテイパードシェイプでノーズが大きなものだった。もちろん浮力はあるし、ノーズも雪に刺さりにくいんだけど、一定以上いくとスピードが乗りづらくて。その点、Cheetahは浮力もあってスピードが乗りやすかったんだよね。ただ、Cheetahはスワローテールでさ。それはそれで良いんだけど、「テールがあればオーリーの高さも出せるし、もっとおもしろいんじゃないかな?」って、当時から思っていたんだ。   

Branch Manager

Cheetah

―3~4年前から構想はあったんですね。 

ナル: そう。同じシーズンにJuice Wagonってモデルもあって、イメージ的にはFishをツインチップにしたようなボードだった。Fishのノーズみたいな形のテールが付いていたよね。 Fishはテイパーが強くて、ややパウダーに寄り過ぎているという印象だったから、もう少し普通のリゾートでも乗りやすいボードが欲しいなって。そのときに思い浮かんだのが、CheetahのノーズとJuice Wagonのテールを組み合わせたボード。Cheetahのノーズは、Fishのノーズよりもシャープな分だけ斜面に合わせやすいんだよね。   

―結果として誕生したのがBranch Managerなんですね。 

ナル: そう。ただ、Cheetahのスワローテールをつなげて普通のテールにすると、多分長過ぎなんだよね。取回しの良さや浮力を考えると、自分的にボードレングスは159cmがベストだと思っていて。そして、いろいろ細かい修正をしているうちに、今度はPile Driverが出てきた。Pile DriverのボディにCheetahのノーズと普通のテールが付いたら、レングスは159cmくらいに収まって、バランスの良いスペックが出せると思ったんだ。ただ当初は、「Feelgoodよりもランニングレングスが短いけど大丈夫?」なんて言われていたので、商品化はダメかもって思っていたよ。でも、とりあえずサンプルを作ってくれてさ。そうしたら、本国の人たちも「おもしろいボードだ」なんて言い始めて。   

―セットバック&短いテールという、いわゆるパウダーボードみたいなものにはしたくなかった? 

ナル: その通り。パウダーでも両足で均等にボードを踏めて、重心はボードの真ん中っていうのが理想で。そこで新たに思いついたのが、Auraのノーズをテールに持ってくること。AuraはKelly Airを意識したボードだから、テールがスクエアっぽい形状になっていてさ。要するに、Branch Managerには異なるモデルのノーズが2つ付いているわけ。   

―ボディはPile Driverを参考にしたとのことですが? 

ナル: あの短さでもパウダーを滑れるからね。ただ、Pile DriverはFunな滑り向けで、マジな滑りには適していないんだ。Branch Managerは、Pile Driverのような細かな動きもできるんだけど、もっと攻められるボード。ディレクショナルキャンバーで、テイパーも少なめ。いろいろ試行錯誤してこのスペックになった。CheetahのノーズとPile Driverのボディ、そしてAuraのノーズをテールに持ってきた融合体なんだよ。 




―ボディはPile Driverを参考にしたとのことですが?

ナル: あの短さでもパウダーを滑れるからね。ただ、Pile DriverはFunな滑り向けで、マジな滑りには適していないんだ。Branch Managerは、Pile Driverのような細かな動きもできるんだけど、もっと攻められるボード。ディレクショナルキャンバーで、テイパーも少なめ。いろいろ試行錯誤してこのスペックになった。CheetahのノーズとPile Driverのボディ、そしてAuraのノーズをテールに持ってきた融合体なんだよ。

―サンプルから製品版の間にも修正された点はあるんですか? 

ナル: ノーズとテールのキックの高さかな。反り具合を変更してもらった。最初のサンプルは希望していたよりも反り過ぎでさ。反っていると、浮力がある一方で雪の抵抗をモロに受けちゃうから、製品版に向けてかなり抑えたよ。絶妙な位置に落とし込めたと思っている。   


―その他、特に意識された部分は?

ナル: フレックスかな。自分は硬いボードが好きなんだけど、ただ硬いだけにはしたくなかった。昨シーズンのToughCatに使われていた太いエッジが好きで、Branch Managerにも搭載したかったんだ。太いエッジを付けると全体的に硬くなるよね? だから、コアというかボディはソフトにして、その周囲を太いエッジで固めようってなったんだ。おかげで、アイスバーンやパウダーの下に潜り込んでいる氷でも、エッジがしっかりと噛んでくれるよ。ノートラックへ行くまでにトラバースしたり、ときに硬い斜面に遭遇することもあるわけで……。同じ力でもエッジの噛みが断然良いから、そういった状況でも安心できると思う。エッジのグリップ力が高いから、カービングもバッチリだね。ズレない。あとは、見た目の美しさも追求したよ。車だってスマホだって、見た目って重要でしょ?

―シェイプの見た目にまで気を使っているとは思いませんでした。 

ナル: 昔ながらのシェイプを残しつつ、新しいフィーリングを求めたって感じ。最近は奇抜なシェイプをよく見かけるけど、動きは普通だったりするからね。Branch Managerは、その逆。伝統的なシェイプはキープしつつ、ニューウェーブな動きや滑りができるボード。155なんて、スライドターンしようと思っても自然とカービングになっちゃうくらい。ちょっとハイバックに乗ったらグンッて(笑)。 

―どんな人に乗ってもらいたいですか? 

ナル: 若い子かな。自分と同世代の人だと何となく動きが予想できるだろうけど、若い子に乗ってもらって変なことをしてもらいたい(笑)。パイプに入っちゃっても良いし。もちろん、パウダーがメインの人も、若くはない人も楽しめるボードだけどね。このノーズの無抵抗感は最高に気持ちが良い。カービングも楽しめるし、良いパウダーを当てるための道中でも活躍する。テールがあるからジャンプもできるし。 

―ちなみに、 Gate Keeperはどうですか? 今季のFamily Treeでは、この2本のニューモデルがよく比較されるので。 

ナル: バランスが良い。できるだけ面積を広くして、できるだけランニングレングスを伸ばしてっていうのがGate Keeperで、ガイドにピッタリだと思う。安定感は抜群だし、深い雪でも先頭で道を切り開いていけるというか。Branch Managerがレーシングカーで、Gate Keeperはブルドーザーみないな? Branch Managerの方が軽快に動けるし、日本の山には向いていると思う。アラスカとかのビッグマウンテンになると、断然Gate Keeperだろうけどね。Branch Managerだったら100ターンくらい刻めるところを、Gate Keeperだったら10ターンくらいってイメージ。小刻みに動きたくて、小粋に遊びたいならBranch Managerがオススメだね。タイトなツリーもおもしろいし、ゲレンデもおもしろい。スピードも乗りやすいし、ジャパウには良いよ。タイトなツリーでも、スライドじゃなくてしっかりターンできるしね。自分は159が気に入っているけど、長さに関しては人それぞれだと思う。ちなみに、自分は身長が170cmちょいで足がUS9。 

Branch Manager

Gate Keeper

―どういったスポットをBranch Managerで滑ってもらいたいですか?  

ナル: タイトな沢を滑ってもらいたい。Vの字くらいの(笑)。テールが長いからスナップが効くし、何より踏めば加速するからね。ただ、いろんな地形が混在しているゲレンデをイメージして作ったから、どこでも楽しめると思うよ。斜度があるツリーだとオーバースピードになってしまいがちだけど、このBranch Managerは、そこをターンでコントロールしながら滑れるんだ。サーフィンのショートボードのような動きに近いというか……。クイックなターンができる。ランニングレングスは短いけど、ミッドポジションに乗っていればかなり楽しめる。そういった意味でもテールが必要だったんだ。沢とか壁が格段におもしろくなるはず。あと、カリカリでも楽しめるはずだよ。
 

-吉村成史プロフィール -
長年、Burtonのプロライダーとして第一線で活躍。伝説的ボード、Sevenやnuのアイコンとしても知られている。現在もプロ活動を継続しつつ、Burtonのプロダクトコーディネーターとして、その豊富な経験を存分に活かし商品開発に携わっている。自身のInstagram こちら