初公開!これが通勤電車「乗車率ランキング」
初公開!これが通勤電車「乗車率ランキング」
なかなか座れない高崎線、すぐ座れるのは?
日ごろ通勤や通学に利用している電車の定員には、座席に加えて、立っている人の数も床面積に応じて含まれている。納得できないという方も多いに違いないが、規則と言われれば納得せざるを得ない部分もある。
路線データがわかれば、立っていてもすぐ座れる?
もし、あいにく座席にあぶれ、立つ羽目に陥ったとしたら、何をするべきだろうか。それは、もうすぐ降りる人が座っている座席の前に立つことだ。どんな人が早く降りるのかは経験値からしばしば語られてきた。曰く、「本や雑誌、新聞を読んでいない」「周囲を見回している」「身支度を整えている」という具合だ。
データをもとにしたよい方法もある。路線ごとに算出された利用者の平均乗車キロを頭に入れておけば、目の前に座っている人がどの駅から乗ってきたのかを観察しておくだけで、どの駅で降りてくれるか、おおよその見当がつくのだ。
今回は首都、中京、京阪神の3大交通圏の主要通勤路線を選び、それぞれの平均乗車キロを求めてみた。
距離がわかるだけでも便利かもしれないが、鉄道事業者各社の路線の長さはまちまちなので、たとえば10㎞と言われても他の路線と比べて長いのか短いのか判断しづらい。そこで、路線の長さに対する平均乗車キロの割合(以下、割合)を示し、3大交通圏ごとにランキングを作成した。これならば、路線ごとの特徴をうかがい知ることができるはずだ。
高崎線に乗って座れなかったら、立席を覚悟?
表を見るとわかるように、高い割合を示した上位4路線はいずれも路線の長さが10㎞以下と短い。
10㎞以上の路線で割合が最も高かったのは、57.5%を記録した高崎線だ。
月並みな分析で恐縮ながら、高崎線の列車に乗車して着席できなかった場合、目の前の座席に座っている人は、なかなか降りないものと考えなければならない。このような路線ではボックスシートのような座席を増やし、多くの利用者が着席できるようにする工夫が求められる。
とはいえ、最混雑1時間の混雑率も191.1%(宮原駅→大宮駅、200
9年度)と高いので、反対に座席の数を減らして車両の収容能力を向上させることも必要だ。
歴史上、上尾事件と呼ばれているが、座席数は多いものの、多数の利用者を詰め込めない車両をラッシュ時に走らせていたことに加え、当時、国鉄の労組が実施していた順法闘争が引き金となった。こうした苦い事例があるので、鉄道会社各社とも車両を最混雑1時間に合わせた仕様とせざるを得ない。
いっぽう、割合が低い路線のうち、いずれもJR東日本の東海道線と東北線とは、東京―品川間、東京―田端間という山手線の電車が走る区間も含まれているために平均乗車キロが短くなっていると考えられる。東海道線を、東京駅を発着する熱海駅方面の列車、東北線を、上野駅を発着する宇都宮駅方面の列車と限定した場合の割合が気になるものの、残念ながら数値は公開されていない。
大宮駅と船橋駅との間を柏駅経由で結ぶ野田線を、全線乗り通す人はほとんどいないのであろう。大多数の利用者は途中の柏駅はもちろん、春日部、流山おおたかの森、新鎌ケ谷の各駅で乗り換えてしまうものと考えられる。
野田線で乗換駅同士の間隔が最も長いのは春日部駅と流山おおたかの森駅間の23.2kmだ。両駅の中間の11.6km地点は清水公園駅と愛宕駅との間にある。したがって、清水公園駅と愛宕駅との間は野田線で最も利用者の少ないと区間の一つと言えそうだ。