壬生狼一家

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▲再び脚光「富士山測候所」▲

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▲読売新聞▲

富士山頂に吹き荒れた横殴りの風雨が収まり、小さな窓から夕日が差し込んできた。北海道大学など三つの研究チームが、安全ベルトと命綱をつけて屋外に飛び出す。気温5度の吹きさらしの寒さの中、大気中の微粒子を採取する装置の取り付け作業を始めた。強風に乗って中国大陸などから運ばれてくる黄砂や粉じん、すすなどを解析する機械が、軽快な音を立てて動き出す。

 気象衛星の発達などで、気象庁富士山測候所(現、富士山特別地域気象観測所)の業務を無人化してから5年。現在、測候所は夏の2か月間、大気観測や高山病などを研究する大学や民間機関の研究者らが組織したNPO富士山測候所を活用する会」が借り、研究拠点として利用している。

 同NPO会員の鶴見大学歯学部の野口いづみ准教授と、エベレストにも登頂したベテラン登山家らの高所医学研究チーム8人は、6時間かけて登った山頂で強風に阻まれ、いったん引き返して8合目の山小屋に避難。翌日ようやく測候所に達した。睡眠中の呼吸を補う特殊なマウスピースを被験者につけてもらい、夜通し脳波、心電図、動脈血酸素飽和度などを測定した。

 野口准教授は「標高3776メートルの低圧・低酸素下の研究拠点は世界的にも貴重。人工的な環境での計測に比べて、高山病の実際的なデータが得られる」と話す。

 今夏、宇宙線や永久凍土の研究者を含め、延べ530人が測候所で研究を行う。毎年20万人以上の登山者でにぎわう夏山シーズンの富士山。その山頂で、一度は役目を終えた築45年の建物が、日本最高所の研究施設として再び輝きつつある。