壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

富士山登山2007 ~馬返しからの挑戦~ 第3回

さてさて凄い富士山登山者の熱気だ。まだ河口湖口から富士山登山を始めた方々はここまで30~40分ほどの登坂時間であろう。やたらと元気が良い。我々は3時間半の道程を既に消化している。
何発もの20人~50人ほどの団体富士山登山者が”山小屋の若者”に連れられたり”富士山登山ガイド”に連れられ現れる。真新しい靴の登山家が多いのがここ富士山の特徴。なぜか山では人を靴から見てしまうのは悪い癖のようだ。

15:30に河口湖口から登ってきた富士山登山者の中に吸収され歩き出した。七合目の山小屋『花小屋』の下の辺りから渋滞が始まっている。標準所要時間は60分、ちょっとここからは混んでいるので標準所要時間通りには行きそうにない。


先頭は笑顔の野生男児

続いて急に回りが人人人となり奇声を発することの出来なくなっておとなしくなった男、

『オヤジ』、

高山病の魔の手が近付きはじめているがリベンジに闘志を燃やす女、

『二年前の俺はこんなんじゃなかったどうしたんだ俺?!』と苦しさと戦う男が続く。


徐々に会話もなくなり、見つめているのは前を歩く仲間の靴とその足跡だけになっていた。眼下に広がる広大な雲海などに目をやる余裕が途切れていた。
何度となく声をかける。
『おいおい、顔上げて景色楽しむ余裕もって登れよ。足元ばかり見ててもつまんねーじゃん!』
一瞬顔を上げるがすぐに俯いてしまう。

ちょこちょこ5分ほどの小休止を交えながら黙々と高度を上げていく。『高山病』から必死に逃れようとする女には高山病の影が見え隠れし始めているのを私は見逃していない。顔色は間違いなく血色を失いつつある。目も戦う目では既になくなっている。『高山病』に取り付かれた。
二年前のことを思い出す。


途中、登坂の順番を代える。

先頭は相変わらずの陽気な男が引っ張る。
二番手も代わらず真新しさが少しずづなくなってきたNIKEの登山靴、奇声を上げなくなったMr.Rashnessが続く。
三番手はチェインジ!! 『オヤジ』の足取りに疲労が見えてきたので私が引っ張る。この辺りから既に集団が2つに分裂し始め、先頭集団は野生男児&無鉄砲男児のクレイジーコンビ。第二集団は私を先頭に『湯だったオヤジ』、高山病に侵された女、汗というより肉汁がジワァ~と溶け出した山形”ドン”児が続いてくる。

先頭のクレイジーな男たちはペースが落ちない。第二集団は全くペースが上がらなくなってきている。笑顔が消えてしまいかけている。
しかし、弱音を吐き出すものはいない。疲労しているのは一目で分かる。
『大丈夫か?』の問いかけには『大丈夫です』と必ず返してくる。強がりな奴らだ。無理していることも一目で分かるというのに。

何となく全員山頂までは辿り着けるんじゃないかなぁと思い始めた頃だ。

七合目の花小屋、日の出館、トモエ館と上がってくると渋滞の最後部に追いついた。大概この渋滞は八合目の太子館、蓬莱館くらいまで行くと弱まる。今宵の宿に到達していくからだ。

気温も下がりだし途中小休止し、一枚服を着込む。風がないのでフリース一枚くらいで十分寒さは凌げる。いつの間には汗は出なくなっている。登山中でも汗が出てこない。登山には丁度良い気候だ。気温は18度くらいだろう。非常に心地良い空気だ。

着替えを済ませるといつものように野生男児は”スパイダーマン柄の上着を着込む。毎年の事だ。スキー場でも常にこの”スパイダーマン”柄を着込む。可笑しいのだが、彼には何故かしっくりくる。”スパイダーマン柄”であっても。

『オヤジ』はどこで手に入れたのか”Patagonia”のジャケットを羽織っている。靴は雑貨屋で『2000円』まるで子供の履く靴のようなプラスチッキーなハイカットのシューズなのに、会社の鞄は”ルイヴィトン”、時計は”ロレックス”、何気にブランドコレクターな『オヤジ』だ。
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そういえば『オヤジ』、会社の本部長に『ZICO』と呼ばれていることを知っているのだろうか?まあそんなことはどうでも良い。

ここは富士山!!

                                          次回へ続く・・・