富士山登山2007 ~馬返しからの挑戦~ 第1回
2ヶ月ほど前から富士山登山の予定をたて会社の仲間など6名で準備をすすめてきた。参加人数は6名、うち4名は富士山登山経験者。
夏休みも佳境の週末を使っての富士山登山は非常に混み合うことが予想される。通常スバルラインを使って五合目の駐車場に向うが、この時期は駐車場入り口の数キロ前から大渋滞し駐車場に辿り着くまで3時間以上掛かることもザラである。
そこでこの渋滞を回避する目的と、高山病対策の為今回の富士山登山は一合目手前の『馬返』からアタックすることにした。各自準備をしっかり整え富士山登山に備えた。
富士山登山数日前から週間天気予報では晴れマークが8/25、8/26と並んだ。今回の富士山登山に参加しない人たちからも『今週末天気良さそうですね』と声をかけてもらった。中にはテルテル坊主を作って我々の富士山登山を快適なものとしようと努めてくれた友人もいた。とっても可愛らしいテルテル坊主(画像あり)、嬉しいじゃないか力になってくれているんだよ。今回参加した6人もこういう影の支えを忘れちゃいかんぞ。
某最寄の駅08:00に集合。遅刻常習犯も中に含まれているが誰一人遅れる事無く08:00前には集合完了。ほぼ定刻に出発。まずは圏央道鶴ヶ島ICを目指す。
が、ここでトラブル発生!!カーナビゲーションが動かない。何をしても動かない。これは何かの前触れなのか?!何度か作動を試みるが結局この富士山登山中カーナビゲーションが作動することはなかった。
圏央道鶴ヶ島ICまでは順調で、圏央道に乗ってからも渋滞なく八王子ジャンクションまで到達。中央道との合流で若干の渋滞はあったものの比較的スムーズに流れ10時過ぎには河口湖ICを下り、いつもの買出しスポット『セイフーマート』に到着10:20。
30分程で買出し等を済ませると『北口本宮富士浅間神社』に向う。いつものことだがR138を山中湖方面に向うと2車線が、途中一車線に変わる所の手前で渋滞となる。本日もいつものように渋滞であった。11:00過ぎに『北口本宮富士浅間神社』に到着。
明日は8/26(日)日本三大奇祭のひとつ『火祭り』が行なわれるので神社内は普段の様子とは違っていた。富士山登山の無事を祈念して御参りを済ませると、今回の富士山登山の出発点『馬返』を目指す。道は標高1100メートルの中ノ茶屋まではしっかりと舗装された道を進むことが出来るが、中ノ茶屋から先は舗装はされているもののアスファルトは荒れている。所々木々の幹が道まで伸び、車のボディを引っ掻きまわす。道幅は車のすれ違いが出来ない程の狭さだ。スピードは20~30劼膿覆爐里やっとでこれでも車の揺れは酷い。
12:00前に『馬返』に到着した。駐車場は無料ではあるが車の数が多い。たった一台分の駐車スペースしか残っていなかった。
その唯一残された駐車スペースに車を止める。周りには20台ほどの車が既に止まっており大半はここを出発点として富士山登山に出た後であった。車のナンバーを見てもいろいろな所からここ『馬返』に集まってきている。気持ちの強い富士山登山の常連の方々なのであろう。
各々お昼ご飯をとり着替えを済ませいよいよ出発準備も完了した。標高1450メートルの『馬返』からの旅が始まる。日差しが強く汗が流れ出る、誰しも富士山登山の不安よりワクワク感を強く抱いている表情であった。
12:20いよいよ『馬返』を出発した。『馬返』から一合目までは15分、途中『明大山荘』の前を通る、先月は閉まっていた『明大山荘』が本日は開いている。金剛杖を購入しようとしたが売っていなかった。天候は最高の状態、陽射しは強いが登山道に入ると時折木々の間を抜けてくる光に目を打たれる程度で、そよぐほどの心地良い風も我々の富士山登山を後押ししてくれているようだ。
先頭を3年連続富士登山参加の山男がペースメーカーとして引っ張っていく。彼はこの6人の中で最もタフで信頼感は群を抜く。こよなくSNOWPEAKを愛する野生児だ。(http://www.snowpeak.co.jp/)常にハイテンションで笑顔を欠かさないムードメーカだ。二人前のザックを担いでも屁の河童。
二番目を歩く男は富士山初参戦、新品のNIKEの登山靴でありながらソールはビブラムであったりする。よく大声で奇声を上げる。テンションはこちらも高い。ちょっとの痛みを大袈裟に演じるのが得意な一面もあるが、ここ一発のド根性を時折見せる。まぁ一言で言えば無鉄砲な少年の香りがプンプンする男である。
三番目を歩くのは苦節1年、昨年も富士山登山に参加を表明したものの参加者多数の為、参加不能になった男だ。こちらも富士山登山初参戦。登山靴を雑貨屋で『2000円』で購入し、持ち物は次に紹介する子にほぼ全て借りてきた。大事に銀紙に包まれた『塩』を持参し自分に振りかけて厄除けしたりする。彼の表現は至って簡単である簡単である。『オヤジ』これで終わり。『オヤジ』って言葉で浮かんでくるキーワードを全て持ち合わせる。
四番目を歩くのは富士山登山二回目の参加。唯一の女性参加者。前回は六合目辺りで高山病を発症、その後、劇的なスローペースとなり山小屋までは何とか到達も、極度の高山病に陥り携帯酸素では事足りず、山小屋で酸素ボンベ(スキューバのタンク程の大きさ)にて酸素を吸引し、九死に一生を得た。翌朝、気合で山頂到達を成し遂げる、まさに奇跡的。何事においても根性あるけど体がついてこないタイプ。前回の敗因を検証し今回の富士山登山に挑む。
五番目をゆくのは今回富士山登山2回目の参加・・・、久しぶりに見たが肉付が前回と比べ大幅UPしている。前回は力強い登坂を見せてくれたが今回は心配材料もある。太り過ぎているのではなかろうか?汗の吹き出ている様子を見ても怪しさがある。今回着てきた紺のTシャツはこの後、異様な模様を浮き上がらせることになる。この時はまさかあのようになるとは思いもよらなかっただろう。
私は最後尾をのんびりと登坂していく。ちょっとペースが遅いのが気がかりであるがそれほど急ぐ旅ではないのでよかろう。
一合目などはシャッターを数枚切ってサクッと通過していく。二合目は小休止しみなザックを下ろし各々水分を補給したりしはじめる。
まだみんな元気そうだ。ここまでは標準所要時間ぴったりに上がってこれている。これで標高1700メートル、『馬返』を出て45分だ。
なに! なに!! みんな結構やるじゃないか。
三合目を目指す。所要時間は20分、1840メートルの地点だ。この辺りからスタート地点で五番目を歩いていた男の脚に思いもよらぬ負荷が掛かってきたようだ。徐々に遅れ、いつの間には最後尾の私の後を歩くようになる。汗が大量に噴出し、額の汗は尋常でない。紺のTシャツが黒に変わっていた。ペースメーカーの山男と時々奇声を上げる二人は順調に足を運んでいる。時折二人の笑い声が青木が原の樹海に吸い込まれていく。その後を行く二人は順番が変わることもなく黙々と、そして淡々と登坂していく。三番目を歩く『オヤジ』は既に汗まみれ、髪の毛もビッチョリとなり、やたらとヘアースタイルを気にして頭を撫で付けたり、かき上げたり、そしてまた撫で付ける。まるで風呂上りの『オヤジ』のような容姿になっていた。
これまた標準所要時間ぴったりに三合目(標高1840メートル)に到着した。またまた小休止し、しばし休憩をとる。次の四合目までは20分ほど、休憩時間も程ほどに先を急ぐ。湿度も徐々に下がり出し気持ちの良い富士山登山となり始めた。ひと月前にはうるさいくらいに鳴いていたセミも、その鳴き声を疎らに聞く程度となっている。季節の移り変わりと、どこよりも早く訪れる富士山の早秋を感じていたのかもしれない。
あっさり四合目にも到着した。時折奇声を上げる男にも疲労の色が見え始めている。この時点で疲労を感じていないのは山男だけだ。やはり四合目でも笑顔を欠かすことがない。専ら皆に話しかけながら笑っている。この男はどんな時でも人への気遣いを忘れない大した奴だ。
他の三人はというと、口数も減り表情にも疲れの色が現れている。『オヤジ』に関しては既に湯だって逆上せているかのようだ。足にもき始めている様に見える。唯一の女性登山家は黙々と、いつ襲ってくるかわからない”魔”の高山病の襲撃に怯えているようにも見える。そして最後尾を歩くこととなってしまった男のTシャツには薄っすらと”塩”が浮かび始めていた。その様子を『オヤジ』を含め他の4人も見て笑っている。隣にいる『オヤジ』のTシャツにも薄っすら”塩”がTシャツを縁取る様に浮かび上がっているのを私はただ見つめていた。
次回へ続く・・・
夏休みも佳境の週末を使っての富士山登山は非常に混み合うことが予想される。通常スバルラインを使って五合目の駐車場に向うが、この時期は駐車場入り口の数キロ前から大渋滞し駐車場に辿り着くまで3時間以上掛かることもザラである。
そこでこの渋滞を回避する目的と、高山病対策の為今回の富士山登山は一合目手前の『馬返』からアタックすることにした。各自準備をしっかり整え富士山登山に備えた。
富士山登山数日前から週間天気予報では晴れマークが8/25、8/26と並んだ。今回の富士山登山に参加しない人たちからも『今週末天気良さそうですね』と声をかけてもらった。中にはテルテル坊主を作って我々の富士山登山を快適なものとしようと努めてくれた友人もいた。とっても可愛らしいテルテル坊主(画像あり)、嬉しいじゃないか力になってくれているんだよ。今回参加した6人もこういう影の支えを忘れちゃいかんぞ。
某最寄の駅08:00に集合。遅刻常習犯も中に含まれているが誰一人遅れる事無く08:00前には集合完了。ほぼ定刻に出発。まずは圏央道鶴ヶ島ICを目指す。
が、ここでトラブル発生!!カーナビゲーションが動かない。何をしても動かない。これは何かの前触れなのか?!何度か作動を試みるが結局この富士山登山中カーナビゲーションが作動することはなかった。
圏央道鶴ヶ島ICまでは順調で、圏央道に乗ってからも渋滞なく八王子ジャンクションまで到達。中央道との合流で若干の渋滞はあったものの比較的スムーズに流れ10時過ぎには河口湖ICを下り、いつもの買出しスポット『セイフーマート』に到着10:20。
30分程で買出し等を済ませると『北口本宮富士浅間神社』に向う。いつものことだがR138を山中湖方面に向うと2車線が、途中一車線に変わる所の手前で渋滞となる。本日もいつものように渋滞であった。11:00過ぎに『北口本宮富士浅間神社』に到着。
明日は8/26(日)日本三大奇祭のひとつ『火祭り』が行なわれるので神社内は普段の様子とは違っていた。富士山登山の無事を祈念して御参りを済ませると、今回の富士山登山の出発点『馬返』を目指す。道は標高1100メートルの中ノ茶屋まではしっかりと舗装された道を進むことが出来るが、中ノ茶屋から先は舗装はされているもののアスファルトは荒れている。所々木々の幹が道まで伸び、車のボディを引っ掻きまわす。道幅は車のすれ違いが出来ない程の狭さだ。スピードは20~30劼膿覆爐里やっとでこれでも車の揺れは酷い。
12:00前に『馬返』に到着した。駐車場は無料ではあるが車の数が多い。たった一台分の駐車スペースしか残っていなかった。
その唯一残された駐車スペースに車を止める。周りには20台ほどの車が既に止まっており大半はここを出発点として富士山登山に出た後であった。車のナンバーを見てもいろいろな所からここ『馬返』に集まってきている。気持ちの強い富士山登山の常連の方々なのであろう。
各々お昼ご飯をとり着替えを済ませいよいよ出発準備も完了した。標高1450メートルの『馬返』からの旅が始まる。日差しが強く汗が流れ出る、誰しも富士山登山の不安よりワクワク感を強く抱いている表情であった。
12:20いよいよ『馬返』を出発した。『馬返』から一合目までは15分、途中『明大山荘』の前を通る、先月は閉まっていた『明大山荘』が本日は開いている。金剛杖を購入しようとしたが売っていなかった。天候は最高の状態、陽射しは強いが登山道に入ると時折木々の間を抜けてくる光に目を打たれる程度で、そよぐほどの心地良い風も我々の富士山登山を後押ししてくれているようだ。
先頭を3年連続富士登山参加の山男がペースメーカーとして引っ張っていく。彼はこの6人の中で最もタフで信頼感は群を抜く。こよなくSNOWPEAKを愛する野生児だ。(http://www.snowpeak.co.jp/)常にハイテンションで笑顔を欠かさないムードメーカだ。二人前のザックを担いでも屁の河童。
二番目を歩く男は富士山初参戦、新品のNIKEの登山靴でありながらソールはビブラムであったりする。よく大声で奇声を上げる。テンションはこちらも高い。ちょっとの痛みを大袈裟に演じるのが得意な一面もあるが、ここ一発のド根性を時折見せる。まぁ一言で言えば無鉄砲な少年の香りがプンプンする男である。
三番目を歩くのは苦節1年、昨年も富士山登山に参加を表明したものの参加者多数の為、参加不能になった男だ。こちらも富士山登山初参戦。登山靴を雑貨屋で『2000円』で購入し、持ち物は次に紹介する子にほぼ全て借りてきた。大事に銀紙に包まれた『塩』を持参し自分に振りかけて厄除けしたりする。彼の表現は至って簡単である簡単である。『オヤジ』これで終わり。『オヤジ』って言葉で浮かんでくるキーワードを全て持ち合わせる。
四番目を歩くのは富士山登山二回目の参加。唯一の女性参加者。前回は六合目辺りで高山病を発症、その後、劇的なスローペースとなり山小屋までは何とか到達も、極度の高山病に陥り携帯酸素では事足りず、山小屋で酸素ボンベ(スキューバのタンク程の大きさ)にて酸素を吸引し、九死に一生を得た。翌朝、気合で山頂到達を成し遂げる、まさに奇跡的。何事においても根性あるけど体がついてこないタイプ。前回の敗因を検証し今回の富士山登山に挑む。
五番目をゆくのは今回富士山登山2回目の参加・・・、久しぶりに見たが肉付が前回と比べ大幅UPしている。前回は力強い登坂を見せてくれたが今回は心配材料もある。太り過ぎているのではなかろうか?汗の吹き出ている様子を見ても怪しさがある。今回着てきた紺のTシャツはこの後、異様な模様を浮き上がらせることになる。この時はまさかあのようになるとは思いもよらなかっただろう。
私は最後尾をのんびりと登坂していく。ちょっとペースが遅いのが気がかりであるがそれほど急ぐ旅ではないのでよかろう。
一合目などはシャッターを数枚切ってサクッと通過していく。二合目は小休止しみなザックを下ろし各々水分を補給したりしはじめる。
まだみんな元気そうだ。ここまでは標準所要時間ぴったりに上がってこれている。これで標高1700メートル、『馬返』を出て45分だ。
なに! なに!! みんな結構やるじゃないか。
三合目を目指す。所要時間は20分、1840メートルの地点だ。この辺りからスタート地点で五番目を歩いていた男の脚に思いもよらぬ負荷が掛かってきたようだ。徐々に遅れ、いつの間には最後尾の私の後を歩くようになる。汗が大量に噴出し、額の汗は尋常でない。紺のTシャツが黒に変わっていた。ペースメーカーの山男と時々奇声を上げる二人は順調に足を運んでいる。時折二人の笑い声が青木が原の樹海に吸い込まれていく。その後を行く二人は順番が変わることもなく黙々と、そして淡々と登坂していく。三番目を歩く『オヤジ』は既に汗まみれ、髪の毛もビッチョリとなり、やたらとヘアースタイルを気にして頭を撫で付けたり、かき上げたり、そしてまた撫で付ける。まるで風呂上りの『オヤジ』のような容姿になっていた。
これまた標準所要時間ぴったりに三合目(標高1840メートル)に到着した。またまた小休止し、しばし休憩をとる。次の四合目までは20分ほど、休憩時間も程ほどに先を急ぐ。湿度も徐々に下がり出し気持ちの良い富士山登山となり始めた。ひと月前にはうるさいくらいに鳴いていたセミも、その鳴き声を疎らに聞く程度となっている。季節の移り変わりと、どこよりも早く訪れる富士山の早秋を感じていたのかもしれない。
あっさり四合目にも到着した。時折奇声を上げる男にも疲労の色が見え始めている。この時点で疲労を感じていないのは山男だけだ。やはり四合目でも笑顔を欠かすことがない。専ら皆に話しかけながら笑っている。この男はどんな時でも人への気遣いを忘れない大した奴だ。
他の三人はというと、口数も減り表情にも疲れの色が現れている。『オヤジ』に関しては既に湯だって逆上せているかのようだ。足にもき始めている様に見える。唯一の女性登山家は黙々と、いつ襲ってくるかわからない”魔”の高山病の襲撃に怯えているようにも見える。そして最後尾を歩くこととなってしまった男のTシャツには薄っすらと”塩”が浮かび始めていた。その様子を『オヤジ』を含め他の4人も見て笑っている。隣にいる『オヤジ』のTシャツにも薄っすら”塩”がTシャツを縁取る様に浮かび上がっているのを私はただ見つめていた。
次回へ続く・・・