壬生狼一家

Yahoo!ブログから引っ越ししてきた新参者です。宜しくお願いいたします。

漢の富士登山道~珍道中~ ≪第15回≫

ガッツで綿毛の乱舞と、毛虫地獄から生還し、広がりのある空間が現れた。


いつもの見慣れた場所、そこは富士山六合目富士山安全指導センターであった。
河口湖口から登りだした登山者との合流はあっけなかった。

登山者はみな、これからの始まる富士山登山の厳しさを感じ得ない笑顔と希望に満ち溢れており体力の消耗もここ六合目までは全く感じていない。

それに引き換え私は既にここまで6時間半の富士登山を完了していた。
厳しく歪ませた表情の富士登山者は私以外には見当たらなかった。

既に時は15:30少し前であった。

登山靴には泥汚れがつき、顔からは汗が引き塩がうっすらと浮いている。
相当な体力的ハンデを背負ったは私は六合目からのペースも上がらない。足が、膝が、腰が、背中が悲鳴をあげだしている。
『待てよ、あと3時間で頂上まで・・・』『無理か・・』

『日が出ているうちに何とか八合目までは到達してやる』

これが目標へと変わっていた。

歩きなれた河口湖口登山道、全ての地形、傾斜が今までの経験として私の体が覚えている。
私の体の記憶では六合目から7合目は正直言ってチョロイ。ガンガンに登坂し団体客は全抜きのペースで軽く行ける。

しかし・・・・、
何としたことか30人~40人の団体富士登山客、中には50歳ほどの方も混じっているが交わされた。それも一気に。
完全なる屈辱しかそこにはなかった。
団体客は、やたら形式ばった装いのハッタリ登山者気取りの私を哀れな視線で見つめ追い越していった。
                                                                                       次回へ続く・・・